肌の悩みの中でも肝斑で悩んでいる人は数多くいることでしょう。
私が働いていた皮膚科のクリニックでは肝斑の治療を希望する患者に対し、ビタミンC、トラネキサム酸の飲み薬、そしてハイドロキノンの塗り薬で治療を行なっておりました。
治療を行うことも必要ですが、肝斑ができないように予防をすることもとても大切です。ここでは肝斑の原因や予防方法、肝斑とシミの違いなどについて詳しくお話していきます。

ニックネーム:L&K 役職:看護師・保健師 私は4年間大学病院に勤務し、その後5年間クリニックに勤めました。現在は2児の母として子育てに奮闘してます。私の経験したことを皆様の役に立つために分かりやすく執筆してきます。
1.肝斑の原因
突然できる肝斑は一体何が原因と言われているのでしょうか。代表的な肝斑の原因4つを以下にご紹介します。
女性ホルモン
女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つがありますが、それらのホルモンのバランスが乱れることにより肝斑ができやすくなると考えられています。
妊娠後は、妊娠を継続させる働きをしている黄体ホルモンの分泌が多くなることにより肝斑ができやすくなります。
また、経口避妊薬(低用量ピル)に含まれているこの黄体ホルモンのバランスが崩れてしまうことにより、経口避妊薬を内服することは肝斑の発症へとつながる場合があります。
看護師からのポイント
できてしまった肝斑は、出産する・経口避妊薬を中断することでホルモンのバランスが元に戻り、徐々に薄くなっていくことが多いと言われています。
日光
肝斑のできる場所が日光の当たりやすい部分であることや、紫外線の強い夏期に色調が強くなり冬季に軽減することにより、日光が発症に関与しているとされています。
皮膚への過剰摩擦
洗顔時や化粧を落とす際、またマッサージなどの皮膚のこすり過ぎにより、角質層が薄くなって皮膚に慢性的な炎症が起こることがあります。
これが色素沈着になったものが肝斑であるとも考えられています。
ストレス
ストレスが原因となって肝斑が現れることもあると考えられています。
ストレスによって分泌されるホルモンが、シミの元となる「メラニン」という色素を作り出すメラノサイトの活動を活発にする働きがあるからです。
2.シミと肝斑の見分け方・違い
ここでは、老人性色素斑のことを「シミ」と呼んでお話します。
シミと肝斑は見た目こそ似ているものの、治すには治療法が全く異なります。つまり、シミの治療で肝斑は改善されず、肝斑の治療でシミは改善されないということです。
間違った治療は時間とお金の無駄となるため、しっかりと見分けることが肝斑改善の近道となります。
シミの特徴
シミは紫外線が原因でできる最も一般的な茶褐色のものです。左右非対称で、境界線がはっきりしており、頬骨のあたりを中心にして様々な箇所に点在しています。
大きさは数ミリの小さなものから数センチの大きなものまであり、シミの表面がザラザラとしていることもあります。早い人で20代後半から現れることがあります。
肝斑の特徴
肝斑は両頬骨や目尻の下あたりに左右対称に広がっており、点在するのではなく肝斑周囲を一筆で囲めるということが特徴的です。
範囲はシミよりも広いことが多いです。境界線が不明瞭で分かりづらく薄い褐色です。30~40代の女性に多く見られ、妊娠や経口避妊薬の内服を契機に現れることもあります。
シミの他に肝斑と間違われやすいもの
皮膚の深いところにでき、アザの一種とも言われている後天性真皮メラノサイトーシスは、肝斑と見分けが難しい場合があります。
国内外問わずいくつかの美容サイトで「肝斑」の臨床写真として間違って使われていることがあると言われています。
後天性真皮メラノサイトーシスはレーザー照射が有効であるため、「肝斑にレーザー照射をしてきれいに治りました」というビフォーアフターの写真に誤って使用されていることがあります。
肝斑はまずしっかりと正しい診断してもらうことが大切なため、必ず事前に化粧を落とした状態で受診しましょう。
時々化粧をしたまま受診する患者や、クリニックで急いで化粧を落とすことで落ちが不十分である患者、擦って落とすことで肌が赤くなって診断の妨げになっている患者もいます。
仕事帰りに受診する場合は不可能かもしれませんが、可能な限り事前に化粧を落としておくことがベストです。
3.肝斑の予防方法と注意事項
肝斑は女性ホルモンのバランスが崩れることで発症することがあるため、肝斑を予防するためにはなるべくストレスを溜めないように努めることが大切となります。
できる限り十分な休息と睡眠を確保してバランスの良い食生活を心がけましょう。他にも誰でもできる肝斑の予防方法をご紹介します。
皮膚を擦らない
最も大切な予防方法は皮膚に摩擦を加えないということです。女性は化粧を落とす際にしっかり落とそうとゴシゴシ皮膚を擦ってしまいがちです。
私が勤務していたクリニックに肝斑で受診する患者の多くは、無意識にゴシゴシと顔を擦りながら化粧を落としているとお話されていました。
特に肝斑ができる部分は顔の中で最も擦ってしまいがちな部分でもある為、絶対に擦らないよう泡で優しく洗顔をすることや化粧を落とすことがベストです。
また、顔のマッサージをするときにも注意が必要です。強くマッサージをすることは皮膚への刺激となってしまう為、皮膚を擦りつけるような過度なマッサージは絶対に避けましょう。
皮膚の保湿
皮膚の保湿を行うことは、皮膚を乾燥から守ってバリア機能をアップする効果がある為とても大切なことです。
しっかりと保湿を行うべきですが、擦りこんだり叩いたりして塗らないように気をつけましょう。
紫外線対策をする
紫外線に当たることにより、今できている肝斑を悪化させることがあります。また、肝斑がない人も紫外線に当たり続けることにより新たに肝斑ができる可能性があります。
紫外線に当たるときは、日焼け止め剤を必ず塗布するようにしましょう。
4.まとめ
肝斑の原因には女性ホルモン、日光、皮膚への過剰摩擦、ストレスが関与しています。それらの原因のうち可能なものは避ける為に予防をしっかりと行うことが大切です。
予防がとても大切ですが、治療を始めるにあたってはしっかり「肝斑」であるという正しい診断を受けることも欠かせません。
しっかりとした経験のある皮膚科医に診てもらうようにしましょう。受診する美容皮膚科や皮膚科クリニックのホームページでしっかりと下調べをすることが大切です。
もし診断を受けても正しいか不安な場合は、セカンドオピニオンを受けるのもよいでしょう。